ゴメス・コンサル(OSA:3813)の完全子会社化の狙い=モーニングスター(OSA:4765)朝倉COOに聞く
Osaka, 2011年2月4日, AEST (ABN Newswire) - モーニングスター <4765> とゴメス・コンサルティング <3813> sは、株式交換を通じてモーニングスターがゴメス・コンサルティングを完全子会社にすることを決めた。ゴメス社の普通株式1株について、モーニングスター普 通株式2.2株を割り当てる。この結果、ゴメス・コンサルティングは4月19日付けで上場廃止になる。モーニングスター代表取締役COOの朝倉智也氏は、 「ゴメス社を100%子会社化することによって、モーニングスターグループとしての事業は一段と収益性を高めることができる」と語る。朝倉氏に、ゴメス社 の完全子会社化を決定した背景と、今後の事業展開についてインタビューした。
―― すでに67.8%の比率で出資し、グループ会社として連携を図っているゴメス社を完全子会社にする意図は?
端的に言えば、上場維持費用など上場子会社としてゴメス社を経営し続けるよりも、ゴメス社をモーニングスターの完全子会社として一体的な経営を 行った方が、ゴメス社は一段と収益性の高い企業体質となり、事業の成長余力も高まるからだ。それが、モーニングスターにとっては、連結収益力の向上につな がる。
ゴメス社のビジネスは、オンライン証券、ネットバンク、また、その他のEコマースに係わるサイトについてユーザビリティなどを比較し、ランキン グを行っている。最近では、IRサイトや大学のサイトも比較してランキングするようになった。ランキングを行っていると、サイトのユーザビリティ向上のた めのノウハウなどが蓄積される。リサーチレポートを提供し、評価結果に基づくコンサルティングを実施、Webサイトの開発まで行うようになった。
ニーズはあるのだが、調査や開発の仕事は労働集約型のビジネスで、収益性は高くない。特にリーマン・ショック以降は、主たるクライアントである 金融機関がWebの開発コストを抑える傾向が明確になり、必要最小限の仕事しか受注できなくなった。その結果、この1-2年は苦戦を続けている。もともと ゴメスのビジネスは、大きな市場があるわけではない。売上高の規模は4億-5億円程度で、利益はトントンだった。今2011年3月期の第3四半期の営業利 益100万円程度になっている。
そのような中で、内部統制(J-Sox)や四半期決算への対応など、近年の度重なる法律や会計制度の改正によって、株式を上場・維持するコスト が増大している。実際に上場コストは販売費及び一般管理費の約20%に相当する2000万円ほどになっている。上場廃止によって、この部分の支出が不要に なって利益が押し上げられるメリットは小さくない。
―― ゴメス社の経営リストラが目的で、子会社化を実施するのか?
リストラは一つの目的にすぎない。100%子会社にすることによって、営業戦略の上でも今までにないシナジー効果が期待できるというメリットが大きい。
たとえば、100%子会社にすることによって、管理部の統合、人材交流などによって、無駄なコストを削減できる。単に上場廃止するだけでも上場 維持コストが削減されることに加えて、経営資源を一体で運営して利益の出やすい事業体にすることができる。これは、2008年4月に株式新聞社を統合した 経験が生きる。株式新聞社は、統合する前には半期(6カ月間)の販売管理費が5億3500万円で1270万円の赤字だったが、統合して2年間で販売管理費 は2億8500万円へと大幅に削減し、営業利益が1億1900万円の黒字になった。
一 方、これまでの連携は、互いの顧客を紹介する程度にとどまっていた。これが、完全子会社として一体的な営業を行うようになると、従来は実現で きなかったタイアップが可能になる。たとえば、モーニングスターは、iPhoneやスマートフォン、iPadなどの新しいデバイスに積極的に対応して、金 融機関向け営業支援サービスとしてデータやツールの提供を行っている。Webサイトやスマートフォン関連でユーザビリティ向上のためのコンサルティング や、関連の開発ができるゴメスの能力は、モーニングスターの金融機関向けのサービスを拡充することに役立つ。
また、事業法人向けには、モーニングスターは上場企業のIR支援のためのセミナー、動画コンテンツの提供などを実施し、かつ、IRコンサルも やっている。企業のIRサイトについて調査・分析してきたゴメスのノウハウを生かした事業法人向けのサービスを展開していくことも可能だ。
このように、経営コストを削減しながら、さらに、営業のタイアップによってトップラインを上げていくこともできる。これが、今回の完全子会社化の狙いだ。
―― ゴメス社の得意とするWebコンサルティング事業の成長性は?
特に金融機関では、これまで対面営業で頑張ってきた伝統的な証券会社、地銀などが今、積極的にWebを強化している。併せて、iPadやスマートフォンなど、新しい情報デバイスを用いた情報サービスへのニーズが大きくなってきている。
モーニングスターでは、昨年末にiPadを使った投信販売支援ツールを地方銀行等に提供し始めたが、すでに3行で採用していただき、評判が良 い。その他の地方銀行や証券会社からも多数の問い合わせをいただいている。対面営業からダイレクト販売への流れは着実に太くなっているし、対面営業の現場 では、これまで以上に幅広い情報を提供するための営業支援ツールが求められている。
モーニングスターは、データや情報を提供することに優れた特徴を発揮し、それをよりよく使っていくためのコンサルティングや新規システムの構築 についてゴメスが役に立つ。互いに、揃ってサービスを提供することで、一段と成長できると考えている。(聞き手・編集担当:徳永浩)
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